高校物理について①
私は現在大学で物理教育について研究しています。
そして私自身物理が大好きです。
実験も問題を解くのも大好きなかなり変わった人間です。
しかし世の中には物理が苦手であったり、嫌いであったりする人が多いです。
多分高校の科目で1番か数学の次くらいに嫌いな人が多いはずです。
ではこれはどうしてなのでしょうか?
今日はこのことについて研究している身として書きたいと思います。
日常生活と違う思考が必要
「みなさん、動いている物体は止まりますよね?」
これは日常生活では当たり前のことです。
人は足を動かし続けなければ前に進みません。
自転車もこぎ続けなければ止まってしまいます。
つまり日常生活では力を加えなければ物体は止まることが常識なのです。
歴史的にもアイザック・ニュートンが現れる前はそれが常識でしたし、力とはそういうものでした。
しかしニュートンの力の発見により
「力を受けていない物体はその運動をし続ける。まるで氷の上をすべるボールのように」
「そして自転車が止まるのは摩擦力という力がはたらく特別な状況だ」
これが私たちが高校で習う物理の根幹なのです。
「力を与え続けないと物体は止まる」などの多くの人が日常と学問で考え方が違う概念のことを専門用語で「一般的素朴概念」や「誤概念」と言います。
これを解消しなければいくら計算能力があっても問題を解くことができません。
しかもこの「一般的素朴概念」を解消することは難しいという論文がたくさんあります。
まずは日常生活の考え方を改めなおす必要がある。
これが物理を難しい学問にする理由の1つです。